上越老人福祉協会では平成17年に以下の行動規範を作成しました。法人職員として、かくあるべきという姿を全職員が共有し且つサービスに反映するため、文言の整理と深層理解につなげるための協議が繰り返し行われました。
更に研修を重ね、各職場での日々の業務目標の指針として位置づける等、行動規範は職員にとって大切なバイブルとなっています。
その人らしく生活されることを支援する根底には、職員のご利用者への「信頼感」があります。ご利用者は、それぞれの性格、長い生活から身に付いた生活習慣、物事への好き嫌い等をお持ちで、職員はそれを丸ごと受入れ、その実現(その人らしい生活の具現化)に積極的に行動することです。
職員に必要なことはサービス提供の中で、ご利用者の生活習慣を信頼できるか、ご利用者の生活習慣に依拠(支持)できるかです。
安全・安心に生活されることを支援する根底には、ご利用者の職員への「信頼感」があります。職員がご利用者から「職員は生活の味方である」「私の生活を支える人」と信頼されるかです。そのためには、毎日の提供するサービスが生活者であるご利用者から信頼を得るものでなければなりません。
「自立した生活への支援」とは「人間らしい生活の支援」です。それゆえ、全ての福祉・介護サービスの基本理念には「自立した生活の支援」が明らかに示されています。(社会福法法、介護保険法など)
自立には、ⅰ)身体的自立、ⅱ)精神的・文化的自立、ⅲ)社会関係的自立があり、自立支援はこの3分野からアプローチします。
自立支援サービスでは、職員が「ご利用者のことを知る=ご利用者の可能性(出来る能力)を知る」ことが基本となり、その根底にはご利用者の人間らしさを尊重する姿勢と、職員自らの自立の心、専門的スキルがあります。
ここでいう「ご利用者の人間性」とは「基本的人権」です。サービスにより「健康で文化的な生活」を保障することです。職員は、ご利用者のいかなる状態でも、その「基本的人権」を尊重し行動しなければなりません。この具体的行動の表現が、ご利用者との関係での「やさしい言葉と行動」です。
F・バイスティックは、ご利用者との関係づくりに次の7原則を示しています。
ⅰ)個別的な関わり
ⅱ)ご利用者の状態に合わせた意図的な感情表現
ⅲ)統制された情緒的関与
ⅳ)受容的な態度
ⅴ)非審判的な態度
ⅵ)自己決定の尊重
ⅶ)秘密の保持
福祉・介護サービスでは原則として、いかなる身体拘束、行動制限も認められません。例外として『ご利用者または他のご利用者等の生命または身体を保護するため緊急やむを得ない場合=切迫性・非代替性・一時性』がありますが、この場合、ⅰ)個人ではなく組織として判断、ⅱ)理由と実施計画を本人・家族へ説明承認、ⅲ)身体拘束の経過の実施記録が必要です。
身体拘束や行動制限の恐さは、職員がサービス提供の過程で無意識のうちに行うことです。だからこそ、職員は身体拘束、行動制限とは何かを具体的に知ることです。そして、身体拘束や行動制限がご利用者の生活をいかに悪化させ、質の低下を招いているか知ることです。
この根底には、職員のご利用者の気持ちを尊重する姿勢、その行動を信頼する姿勢があります。
福祉・介護サービスの仕事は「人間関係」の上に成り立ちます。言い換えれば、職員がご利用者にとって「悲しみや喜びを分かち合える存在」であることです。それは「介護する人」「介護される人」の関係の中での人間的信頼性、対等性にあります。そのために職員にはご利用者の生活(悲しみや喜び)感じ取る豊かな感受性が求められます。
福祉職員が仕事に夢と誇りを持てるのは、一般の物流関係や、利害関係ではなく、悲しみや喜びを共にする「人間関係」に仕事の基礎を置くからです。それ故にこそ、よりよい「人間関係」を築くため福祉人として自己研鑽に励まなければなりませんし、研鑽努力がさらに大きな仕事の喜びを与えてくれます。
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